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赤毛のわんこは美味しい

いつも通りのパラレル妄想です。
擬獣人化、ケモショタなどが苦手な方はにーげてー!

そして迷走しました。
文章書ける人はやっぱり偉大だと思いました・・・!!
※獣人が共生してる世界だと思ってください、思い込んでください。




…おかしい、どっちかというと猫派のはずだったんだけどな…。




転校早々目を引いたのはふらふらしながら電柱にぶつかった明るい毛並みのわんこ。
妙に危なっかしいなぁと思っていたら二日目にはポリバケツに突っ込んで
自力で出られなくなってくんくん鳴いてたんで、放っておくわけにもいかず
助けてやったら随分となつかれてしまった。

名前はヨースケというらしい。

俺の腰までもないような小さななりで同級生だというので少し驚いた。
事件やらマヨナカテレビやら色々あってからはウザイほどなつかれてしまうし、
探索がない日やバイトがない日には決まって廊下にヨースケが待っていて、
遊んでやるのがいつの間にか日課みたいになっていた。正直ちょっとめんどくさい。

「なーなー!あいぼー!おまえんち、いっていい?」

だんだん図々しくなるな、お前。
…まぁ奈々子も以前ジュネスで一緒に遊んだときから
この見た目と人懐っこい性格のヨースケの事を気に入ってるし断る理由もない。
小首をかしげ、小さく尻尾を揺らしながら返事を待っていたが
俺の「わかった」の一言で千切れるんじゃないか思うぐらい激しく柑子色のそれを振り回した。

授業のことや宿題の話をしながら家に着く少し手前奈々子のいっていた事を思い出す。
今日は奈々子は友達の家でお泊り会でいないんだ、すっかり忘れてた…とつぶやくと
チョコチョコと半ば駆け足で歩いていたヨースケは俺の顔を見上げたあと、
「…そっか」と少しだけ俯いて耳をたらした。
陽介も奈々子に会うのを楽しみにしていたらしい。

「おじゃまします!」
誰もいない堂島家に断りを入れるとヨースケはオレンジ色の小さな肩掛けバッグから
ウェットティッシュを取り出して自分の足の肉球を拭いてからあがってきた。
一応布巾を用意していたんだが
さすがスーパー在住わんこだけはあって衛生面に気を使うところは素直にほめてやりたい。
…褒めないけどな。

俺の部屋に入るとしきりにふんふんと匂いを嗅いで回る。
「へへ、あいぼーのおたから、みつけてやるぜ!」
見かけが見かけなんで一瞬なんのことかと思ったがこいつも俺も高校生だと考えれば
答えにすぐに行き着いた。
といっても仮住まいにそんなもの置くわけないし、大体事件続きでそんな余裕はなかった
無邪気にテンション上げているヨースケをバカだなあと思いつつも
鼻を床につけて探し回るその姿が面白かったのでとめなかった。

お茶を淹れてくる、と夢中になってるヨースケにひと声かけて台所のへ向かう。
登校前に煮出して冷蔵庫に入れておいた麦茶を大きめのグラスに注ぎ
ジュネスオリジナルブランドの安価なスナック菓子を用意して来たとおり階段を上る。
あるはずのないものをまだ探しているのかとそっと覗くと、
部屋の隅に畳んである布団の上に赤茶色の毛玉が乗り上げているのが見えた。
それほど広い部屋でもないのですぐにソレに行き着いたのかもしれない。

まるで小さな体を擦り付けるような動き、おいおいまさかそのまま寝るつもりじゃ…

「はっ、はぁっ…ぁぃ・・・ぼ・・・ッ」

・・・?

俺のことを呼んでいる…?
鼻っぱしらを布団に押し付けているみたいで上手く聞き取れない。



いたずらの可能性をたっぷり数十秒も思案したが
その間もドアの隙間から見えるヨースケの小さな体は浅く苦しそうな息遣いで
俺の名前を呼びながら小刻みに震えているのは、どう見積もっても可愛い子供みたいな
事情ではない…と

俺は認めてしまった。


これは…その・・・ッ




「ヨースケ」

スローモーションのようにこちらを確認する

大きく潤むこげ茶の瞳に移りこんでいる俺は

次第に大きくなってやがて覆いつくして見えなくなった。


……・・・
……
…。


発情期だと知ったのはそれから1時間ほど後で、

バツが悪そうにシッポを股にはさみながら告白されたのはさらにその30分後だった。





…本当におかしい、どっちかというと俺は猫派のはずなのに。

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