オリジナルSSです。
でてくるキャラクターは「アージャ」と「狼禅」(ろうぜん)といいます。
廃刊になってるのですが過去のコミックス「Beasty Boys」で描かせて頂いた
キャラクターです。
賞金稼ぎで変わり者のアージャと真面目だけどちょっと抜けている獣人狼禅の
ドタバタBLエロマンガでした。(漫画のほうでは狼禅が大人になってます。)
今回はエロは無いですすいませんorz
あと
BEAST HEAVENという2008年発売のコミックスにも少しだけ出てきたりしてます。
旧作漫画のほうはご興味がありましたら
携帯コミックでご覧いただけるとおもいます。(*´▽`*)ノ
サアァァァァ…。
この季節の雨はいつも冷たい。
どうも俺は『寒い』という感覚が苦手だ。
少ししびれるように冷えるのが好きじゃない。し身体がカチカチにこわばる気がする。
結構長い間そういう夜をすごした気がするんだが
如何せん『ヒトモドキ』の俺にあまり時間という概念はない。
野生の人間(ケモノ)は俺を襲わないし、
社会を形成している優勢獣人(ヒト)には仲間意識ももたれない。
だから日が登って沈んでもソレがどれだけ重要だったのかもわからなかった。
ぼんやり雨音を聞いていたら
腹の上の体温がもぞり、と動いた。
ひょんな事で拾った子獣を気まぐれに育て始めてから
数えだした日が沈む回数は今日で大体360回前後。
よく眠ってずり落ちそうになるのを片手でしっかり抱きかかえなおすと、
伝わってくる体温におなかの中心が温められた気がして、
逆に一人で過ごしたこんな雨の日のことを思い出だした。
…冷たい雨に触れて忘れていた感覚がなんなのか唐突に理解した。
ああ、そうか、
『凍える』と『寂しい』のは似ているんだなぁ―――。
このあったかい奴がいなければ知らなくてよかったことかもな…
と、まどろんできた思考で考える。
目的地まであと半日、だけど夜があけたら早めに出発しよう。
子供の足では日が暮れてしまうから。